結論:確定した税額が前払い額を上回ったため
確定申告で追加納税になるのは、一年分の所得から計算した所得税・復興特別所得税が、源泉徴収や予定納税ですでに納めた額より多かったためです。税金が新しく上乗せされたのではなく、確定申告で不足分を精算しています。
概算の関係は次のとおりです。
確定した所得税・復興特別所得税
- 源泉徴収税額
- 予定納税額
= 確定申告で納める税額(プラスの場合)
反対に、源泉徴収税額や予定納税額のほうが多ければ還付になります。追加納税になったことだけで、申告ミスやペナルティがあったとは限りません。
追加納税と「追徴課税」は同じではない
日常会話では追加で払う税金を「追徴」と呼ぶことがありますが、次の二つは分けて考えると理解しやすくなります。
| 場面 | 内容 |
|---|---|
| 期限内の確定申告で納付額が出た | 一年分の税額と前払い額の通常の精算 |
| 申告後に税額不足が判明した | 修正申告などで不足税額を納付。状況により延滞税や加算税がかかる場合がある |
確定申告の計算結果に「納める税金」が表示されただけなら、通常は一つ目のケースです。
確定申告で追加納税になる主な理由
1. 副業の所得が源泉徴収されていない
副業の売上から必要経費を引いた所得があると、本業の給与所得と合わせて税額を計算します。副業分の税金が十分に源泉徴収されていなければ、確定申告時に差額が出ます。
よく聞く「20万円ルール」は、原則として年末調整済みの給与を1か所から受ける人について、給与・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超えるかを見るものです。20万円は売上や入金額ではありません。
また、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合があります。扱いは自治体や所得状況で異なるため、住所地の市区町村で確認してください。住民税額の目安は住民税計算ツールでも確認できます。
2. 2か所以上から給与を受け取った
主たる勤務先以外の給与は年末調整されないのが一般的です。複数の給与を合算すると年間の税額が再計算され、各社で引かれた源泉徴収税額の合計では足りないことがあります。
3. 年末調整の内容と実際の状況が違った
扶養親族の所得が要件を超えていた、控除証明の内容に訂正があったなど、年末調整で適用した控除を確定申告で減らすと税額が増えることがあります。年末調整計算ツールで給与・控除・源泉徴収の関係を整理できます。
なお、医療費控除や寄附金控除などを追加する申告は、一般には税額を減らす方向に働きます。
4. 事業所得・不動産所得などがあった
個人事業、フリーランス、賃貸不動産などの所得は、一年分の収入と必要経費を確定して申告します。源泉徴収されていない所得が多いほど、確定申告時の納付額も大きくなりやすくなります。
5. 株式などの利益を申告した
一般口座や特定口座(源泉徴収なし)で申告対象の利益がある場合は、確定申告で税額が生じることがあります。特定口座(源泉徴収あり)でも、損益通算などのために申告するかどうかで結果が変わります。NISA口座内の非課税取引など例外もあるため、口座区分を確認してください。
6. 予定納税額が最終税額より少なかった
予定納税は、前年の税額などを基に当年分を前払いする制度です。確定申告で計算した所得税・復興特別所得税から予定納税額を差し引き、不足があれば第3期分として納めます。
追加納税額の計算方法
実際の申告では所得控除・税額控除などを順に反映します。大まかな流れは次のとおりです。
- 収入から給与所得控除や必要経費を引き、各所得を求める
- 所得を合計し、基礎控除・社会保険料控除などを引いて課税所得を求める
- 課税所得に税率を掛け、控除額を引いて所得税額を求める
- 税額控除などを反映し、基準所得税額を求める
- 基準所得税額の2.1%を復興特別所得税として加える
- 源泉徴収税額と予定納税額を差し引く
確定申告で納める第3期分は、計算結果がプラスなら原則として100円未満を切り捨てます。概算は所得税計算ツールで試せますが、申告書とは控除や端数処理が異なる場合があります。
所得税の速算表
総合課税の所得税率は5%から45%までの7段階です。課税所得は1,000円未満を切り捨ててから計算します。
| 課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
| 1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
| 9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
| 18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
| 40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
例:課税所得が30万円増えた場合
控除反映後の課税所得が260万円から290万円に増え、どちらも10%の税率帯に収まる例で比べます。
増加前:2,600,000円 × 10% - 97,500円 = 162,500円
増加後:2,900,000円 × 10% - 97,500円 = 192,500円
所得税の差額:30,000円
さらに復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)を反映します。実際の追加納税額は、源泉徴収、予定納税、税額控除などによって変わるため、「副業所得×税率」だけでは確定しません。
2025年分の納付期限は2026年3月16日
2025年分(令和7年分)の所得税・復興特別所得税は、**2026年3月16日(月)**が申告・納付期限です。通常の法定期限は翌年3月15日ですが、土日祝日に当たる年は翌日へ移ります。
申告書を提出しても、原則として税務署から納付書や納付案内が自動で届くわけではありません。納付手続は自分で行います。振替納税を利用する場合、2025年分の振替日は2026年4月23日(木)です。
追加納税の支払い方法
国税庁が案内する主な方法は次のとおりです。
| 方法 | 主な注意点 |
|---|---|
| 振替納税 | 事前に依頼書を提出し、指定口座から振替日に自動引落し |
| ダイレクト納付 | e-Taxの利用と事前届出が必要。登録後に別途納付操作を行う |
| インターネットバンキング・ATM | e-Taxの納付情報などを使って納付 |
| クレジットカード納付 | 専用サイトを利用。納付税額に応じた決済手数料がかかる |
| スマホアプリ納付 | 専用サイトから決済。納付税額30万円以下が対象 |
| コンビニ納付(QRコード) | 納付税額30万円以下。対応コンビニで現金払い |
| 金融機関・税務署の窓口 | 納付書を使って現金で納付 |
「e-Taxで申告しただけ」「振替依頼書を出しただけ」では、ダイレクト納付が完了しない点に注意してください。
期限までに払えないときの対処法
一括納付で事業の継続や生活の維持が難しくなる場合などは、要件を満たせば換価の猶予や納税の猶予を受けられることがあります。原則1年以内で、資力に応じた分割納付になる場合があり、猶予期間中の延滞税も全部または一部が免除されることがあります。
申請による換価の猶予には、原則として納期限から6か月以内の申請などの要件があります。納付が難しいと分かった時点で、所轄税務署の徴収担当に相談してください。
期限を過ぎたまま放置すると、法定納期限の翌日から延滞税がかかる場合があります。申告自体をしていない場合や申告額が少なかった場合は、無申告加算税・過少申告加算税などが生じることもあります。
追加納税に慌てないための確認項目
- 副業は売上ではなく、必要経費を引いた所得を月ごとに記録する
- 給与・報酬の源泉徴収票や支払調書、予定納税額の通知を確認する
- 基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除などの入力漏れを確認する
- 申告後は納付方法と納付日まで確認する
- 一括納付が難しければ、期限前に税務署へ相談する
追加納税は、年間の正しい税額と前払い額の差を埋める手続です。まず申告書の「源泉徴収税額」「予定納税額」「第3期分の税額」を確認し、何が差額を生んだかを切り分けましょう。